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ピタゴラスも驚く? ヤクルトの謎…

 プロ野球交流戦は6月15日、ソフトバンクが中日を5-3で下し、2年ぶり3度目の優勝を決めた。パ球団の優勝は交流戦が始まった2005年以来7年連続。それも17勝2敗2分けと圧倒的な強さだった(6月15日現在)。元々、地力のあるチームではあったが、昨オフには横浜・内川やオリックス・カブレラらを補強。潤沢な資金力にものを言わせた補強策は、チームを活性化させ、それが見事に結実した。フロントと現場が一体になっての勝利と言ってもいいだろう。

 さて、翌16日の夕刊フジにちょっと興味深い記事が載っていた。ヤクルトは15日の西武戦(神宮)で0-8という惨敗を喫したのだが、そのヤクルトにスポットライトを当てた記事だ。「ヤクルト不思議な首位 得失点差マイナスでも貯金6、ヘンリー理論では…」との記事で、筆者は笹森倫記者。笹森記者はセイバーメトリクス(野球における統計学分析)に精通している記者で、文章力もさることながら、電卓を片手に難しい数式をいとも簡単に操る理論派だ。セイバーメトリクスの分野においては、わが社でもナンバーワンの記者と言ってもいい。

 その笹森記者が触れているのは、ヤクルトがセ・リーグの首位を維持しながらも、得点156、失点168と得失点でマイナスとなっていることだ。ここで、笹森記者は、妥当な勝率=得点の2乗÷(得点の2乗+失点の2乗)という「ヘンリー理論」を持ち出している。この数式に当てはめると、得点の2乗は312。得点の2乗+失点の2乗は648で、妥当な勝率は、0.481ということになる。ヤクルトは15日現在、勝率.571だが、この「ヘンリー理論」でいけばリーグ3位ということになる。

 つまり、勝つ時は僅差での接戦をものにし、負ける時は潔く大敗するというわけだ。

 この「ヘンリー理論」、日本ではあまりなじみがないのかもしれないが、本場のアメリカでは「ピタゴラス予測(Pythagorean expectation)」と呼ばれ、ポピュラーなものだ。Wikipediaによると、これはセイバーメトリクスの元祖、ビル・ジェームズによって発案されたものらしい。数式で表すとこうだ。

ピタゴラス予測

 ピタゴラスの定理(三平方の定理)については中学生ぐらいで習うだろう。直角三角形の斜面の長さを表す際、直角に交わるA辺の2乗とB辺の2乗の和の平方根が斜面Cの長さになるというやつだ。もちろん、古代ギリシアの数学者、哲学者であるピタゴラスの時代(紀元前582年 - 紀元前496年)に野球というスポーツは存在していない。このピタゴラス予測は、数式がピタゴラスの定理に似ているために名付けられたものだ。

 「予測(expectation)」とうたっているだけに、得点、失点がそのまま勝率に反映されるわけではない。ただ、単純に、野球は敵よりも多くを点を取り、敵よりも少ない失点で済めば勝つというスポーツだ。得点が失点を上回るほど勝率は高くなり、逆に失点が得点を上回るほど勝率は低くなる。極端な話、失点が0で得点が1以上なら勝率は100%。逆に得点が0で失点が1以上なら勝率は0%だ。

 このピタゴラス予測自体、ビル・ジェームズ自身によって、「2乗」が「1.83乗」に改変されたりしているのだが、近年のデータからしても、おおむね計算式通りの結果となっている。もちろん、日本のプロ野球史上でも得失点差がマイナスで優勝したチームはない。

 となると、ヤクルトは史上初めて「ピタゴラス予測」を破るチームとなるのか? 交流戦後のリーグ戦再開が楽しみになってきた。




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[ 2011/06/16 19:26 ] スポーツ プロ野球 | TB(0) | CM(0)
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プロフィル

I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes...or should I?

Author: 本間 普喜
(ほんま ひろき)

1963年5月7日、横浜生まれ
1987年、産経新聞社入社
職業:ライター
好きな食べ物:極上の本マグロ、アルコール類全般…
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