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本間普喜のホンマのところ… TOP > 2011年01月                    お気に入りに追加

佑ちゃんの“初体験”を奪ったのは…

 日本ハム・斎藤とイチローが夢の“合体”。それにしてもこの競演を演出した「バウ企画」って…。

 いまやプロ野球界の話題を一身に集めている日本ハムのドラフト1位ルーキー、斎藤佑樹投手(22)。あす2月1日から始まる沖縄・名護キャンプでは、シート打撃などで日本ハムの誰が、「斎藤がプロとして初めて対戦した打者」となるかが注目されていたのだが、その記念すべき“初体験”があっさりと奪われてしまった。

 そのお相手は、なんと大リーグを代表するスーパースター、シアトル・マリナーズのイチロー外野手(37)という超大物だった。

 昨30日は日本ハムの新人合同自主トレの打ち上げ日で、個人練習が認められていた。斎藤は早朝に千葉・鎌ケ谷の寮を出て、戻ったのは正午前。午後にはドラフト3位の乾真大投手(22)を相手に遠投などを行った。

 練習後に取材に応じた斎藤は「午前中、イチローさんと練習してたんです。軽いランニング、キャッチボール、打撃練習、打撃投手もやらせてもらいました」と仰天発言。報道陣の度肝を抜いた。

 斎藤は昨年12月、イチローの所属事務所「バウ企画」(本社・大阪)とマネジメント契約を結んだ。イチローは今オフ、神戸市内で古巣オリックスのT-岡田外野手(23)らと合同自主トレを行ってきたが、今月中旬、イチローが事務所を通じて斎藤に“ラブコール”を送り、斎藤も「ぜひ、お願いします!」と即答。この日、都内某所で約2時間、夢の“密会トレ”が実現したという。

 「きょう本当にプロに入って初めての対戦で、イチローさんとできたことは光栄。夢のようでした。この先の財産になります」と斎藤。打撃投手では、変化球を交えて約30球。「多少、打ち取ろうという下心もありました。でも無理でした」と天才打者との対戦を振り返り、空振りは取れず、すべてきれいに打ち返されたという。

 特に驚かされたのがキャッチボールでの球筋で、「キャッチボールでこんな球は見たことがない。本当にレーザービーム。落ちないんです。140キロ? もっと出ていたかもしれませんが、速さだけじゃない。回転、勢い、とにかく言葉じゃ表せない。とにかくハイテンション!」と興奮しまくりの様子だった。

 今月12日から始まった鎌ケ谷での新人合同自主トレには合計約4万700人のファンが詰めかけた。もし、この日のイチローとの“極秘トレ”が事前に漏れていたら、どんな騒ぎになっていたことか…。サッカーのアジア杯で優勝した日本代表の話題も吹き飛ばして、スポーツ紙の1面級となっていたことは間違いない。斎藤もこのサプライズが事前に漏れないよう、同期の選手にも口外していなかった。

 それにしても、改めて注目されることとなったのが、「バウ企画」なるマネジメント会社だ。斎藤は昨年、ドラフトで指名されて以降、大手芸能プロダクションなど十数社からマネジメント契約のオファーがあった。プロとしてはまだ右も左もわからない新人。普通なら無難な大手事務所を選びそうなものだが、家族会議の結果、「スター性ではなく、野球選手として親身に、大事に考えてくれている」(母・しづ子さん)として、「バウ企画」を選んだ。

 「バウ企画」は、イチローがオリックス在籍当時、専属広報を務めていた岡田良樹氏(49)が代表取締役を務め、2002年に設立された。資本金は1000万円、従業員はたったの6人だけという小さな会社だ。斎藤が入るまで、所属していたのはイチローただ1人だけ…。営業規模からすれば、楽天の田中将大投手(22)らが所属する「ホリプロ」(資本金45億8300万円、社員254人)などにはとても太刀打ちできない。

 だが、「最高の環境で最高のパフォーマンスを」というのが「バウ企画」のモットーで、これまでもイチローが野球に専念できる環境づくりを最優先にサポートしてきた。これがもし、商売っ気のある芸能プロダクションなら、「イチロー&佑ちゃん」の“合体”は格好の商売材料。一大イベントとして大々的に売り込んでいたことだろう。有料で入場者を集め、テレビでも大々的に取り上げられていたはずだ。

 「バウ企画」の岡田社長は頭脳明晰の切れ者として知られ、何よりも「気配りができる人」としてイチローが惚れ込んでいる人物。イチローは現在、ハウス食品、佐藤製薬、日興コーディアル証券、ENEOS、ミズノなど多数のCMに出演するなど、その生み出す富は莫大だ。しかし、イチローは金銭に対する執着があまりなく、あくまでも野球と、そのための環境が第一で、お金は二の次という考え。岡田社長もその点を一番良く理解している。

 周囲の大人たちの多くが、人気者の斎藤を「金を生み出す打ち出の小づち」として見ている中で、野球に集中できる環境を最優先にする「バウ企画」は、斎藤にとって賢明な選択だったといえそうだ。

 小規模ながらも、そのマネジメント能力の高さは、すでにイチローで実証済み。斎藤がイチロー流のサポートを受けることは、今後プロとして歩んでいく上で、大きな武器となっていきそうだ。



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[ 2011/01/31 09:04 ] スポーツ プロ野球 | TB(0) | CM(0)
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プロフィル

I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes...or should I?

Author: 本間 普喜
(ほんま ひろき)

1963年5月7日、横浜生まれ
1987年、産経新聞社入社
職業:ライター
好きな食べ物:極上の本マグロ、アルコール類全般…
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