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本間普喜のホンマのところ… TOP > 2010年11月04日                    お気に入りに追加

「何かを持つ男」斎藤のオーラとは…

 日本ハムから1位指名されている早大・斎藤が、完全に日本シリーズを食ってしまった。やはり「何かを持つ男」は違う…。

 東京六大学秋季リーグの優勝決定戦(神宮)は3日、早大が10-5で慶大を下し、4季ぶりの優勝を果たした。日本ハムからドラフト1位指名を受けている早大先発の斎藤佑樹投手(22)は八回1死までノーヒットノーランという快投。「伝説の早慶6連戦」以来50年ぶりとなる大舞台で力を発揮し、「持っている男」を証明してみせた。

 何もかもができすぎたドラマのような展開だった。早大の第100代主将として早慶優勝決定戦を制し、仲間の手で3度宙を舞った。優勝インタビューでは「最後に1つだけ言わせてください」と自ら切り出し、「本当にいろいろな人から斎藤は何かを持っていると言われてきました。今日、何を持っているかを確信しました。それは仲間です。チャンスを回してくれた仲間。応援してくれた仲間。慶応大学というライバルがいて、ここまで成長させてくれたんだと思います」と感謝の言葉で締めくくった。

 そもそも、優勝決定戦までもつれ込んだのは、斎藤が10月2日の東大戦で取りこぼし、勝てば優勝という10月31日の慶大1回戦でも敗れたから。今季1勝10敗の東大相手に勝ってさえいれば、こんなドラマはなかった。東大に負けたチームが優勝するのは1984年の法大以来26年ぶりで、早大としては1949年春以来61年ぶり。まさに、斎藤の自作自演で、おいしいところだけ持って行ったようなものだ。

 だが、この“演出”のおかげで、この日の神宮球場は3万6000人の大入り満員。NHKも急きょ、全国ネットの生中継に踏み切った。ちなみに、同日の日本シリーズ第4戦、ロッテvs中日(千葉マリン)は2万7197人の入りで地上波の中継はテレビ東京。斎藤人気が完全に日本シリーズを脇役に追いやってしまった格好だ。

 敗れた慶大の江藤省三監督(68)は「全部引き立て役で終わってしまった。プロに入る人は、何か強いものを持ってないと通用しない。斎藤は例えば日本シリーズ第7戦で勝つ。そんな場面で出るんじゃないかな。自分はプロで40数年やってきたからわかる」と話し、斎藤の持つオーラを認める。

 「球威がない」「フォームが悪い」などと、大学3、4年での評価は下がり気味だった斎藤だが、それでもドラフトでは4球団が競合。最後の大舞台でも好投を演じたことで、不安説を一蹴して見せた。

 結局、この日はノーヒットノーランまであと5人のところまでこぎ着けながら、味方のまずい守備もあって5点を失ったが、斎藤は「今までノーヒットノーランをしたことがなくて、結局できないんだなと。ヒット1本打たれて楽になった。点を取られたのはよくなかったけど、しようがない。自分自身は勝つことしか考えてなかった。ノーヒットノーランはプロに行ってからの、お預けですね」とサバサバした表情。もし、ノーヒットノーランを達成していようものなら、それこそ、できすぎで逆に臭くなってしまうところ。西武からドラフト1位指名を受けた大石達也投手(22)のリリーフを仰ぐぐらいがちょうどいい味付けなのかもしれない。

 きょう4日午後3時からは、ドラフト当日に行われなかった会見がようやく開かれ、プロとしての第一歩を踏み出す。「何かを持つ男」は今後も、さまざまなドラマを見せてくれそうだ。


[ 2010/11/04 09:07 ] スポーツ | TB(0) | CM(0)
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プロフィル

I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes...or should I?

Author: 本間 普喜
(ほんま ひろき)

1963年5月7日、横浜生まれ
1987年、産経新聞社入社
職業:ライター
好きな食べ物:極上の本マグロ、アルコール類全般…
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